市街化調整区域の土地でできる活用 開発許可・建築許可と農地転用の確かめ方
市街化調整区域の土地は、建物を建てるのに原則として許可が要ります。賃貸住宅や店舗を建てる案は、許可の基準に合わない限り進められません。一方で、建物を建てない駐車場や資材置き場、太陽光発電は、都市計画法の許可が要らないとする自治体があります。
ただし、許可の基準や手続きは自治体の条例や運用で変わります。土地が田や畑なら、農地法の転用許可も必要です。この記事は一般的な情報です。個別の判断は税理士や不動産会社、自治体の窓口などにご相談ください。内容は2026年11月3日に確認しました。
市街化調整区域と許可の仕組み
都市計画法7条は、市街化調整区域を「市街化を抑制すべき区域」と定めています。市街化区域が、すでに市街地になっている区域とおおむね10年以内に市街化を進める区域であるのと対照的です。

この区域で関わる条文は主に3つです。
- 29条:開発行為をするには、都道府県知事(指定都市や中核市では市長)の許可が要ります。農林漁業用の一定の建物などは例外です
- 34条:市街化調整区域で開発許可を出してよい場合を、1号から14号まで列挙しています
- 43条:開発許可を受けた区域の外で建物を新築したり、用途を変えたりするときにも、知事の許可が要ります
開発行為とは、4条12項で「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更」とされています。建物を建てる目的がなければ、開発行為には当たらないという整理になります。
許可を出すのは都道府県や指定都市などなので、運用も自治体ごとに違います。34条11号と12号は、都道府県などの条例で区域や用途を定める仕組みです。14号は、開発審査会の議を経て個別に許可するものです。
建物を建てない使い方:駐車場・資材置き場・太陽光
神戸市の「市街化調整区域での開発(建築)許可に関するよくある質問」は、資材置き場や駐車場について、建築物に当たらなければ開発許可制度の適用は受けず、許可は不要としています。

同じQ&Aは注意点も挙げています。プレハブやコンテナハウス、トレーラーハウスでも、常に土地に定着していれば、基礎工事の有無にかかわらず建築物に当たる可能性があります。農地法、森林法、盛土規制法、市の条例などの手続きが別に必要になることもあります。
コンテナについては、国土交通省も、随時かつ任意に移動できないものは建築基準法上の建築物に当たるとしています。資材置き場に倉庫代わりのコンテナを置く計画なら、先に窓口で確認してください。
太陽光発電について、神戸市は、パネルを設置するだけなら建築物や特定工作物に当たらず、開発許可は不要としています。パネルの下を車庫にする場合などは、建築物とみなされることがあるとも書いています。神戸市では、小規模なものを除き、太陽光発電施設に関する条例の届出も必要です。
福岡県の開発許可に関する質疑応答も、太陽光発電設備とその附属施設が建築物でなければ、市街化調整区域でも開発許可は不要としています。ただし、附属施設が建築物に当たる場合は、市街化調整区域では43条の建築許可が要るとしています。市町村の開発指導要綱の手続きや、盛土規制法の許可が別に必要な場合もあります。
駐車場にしたときの税金は相続した土地を駐車場にするときの初期費用と税金で扱っています。使い道の候補が複数あるなら、調整区域の土地を扱った経験のある会社に、それぞれの案を出してもらうと比べやすくなります。
建物を建てたいときに確かめること
建物を建てる案は、34条の各号のどれかに当たるかで決まります。たとえば1号は、周辺に住む人の日常生活に必要な店舗などです。11号と12号は、条例で指定された区域や用途に限られます。

すでに建物が建っている土地でも、そのまま使えるとは限りません。神戸市のQ&Aは、都市計画法上適法な建築物の条件として、線引き(市街化調整区域になった日)の時点で存在していたことなどを挙げています。神戸市の多くの地域では、1970年12月28日が線引きの日です。
許可を受けた人に限って住める建物もあります。神戸市のQ&Aでは、農家住宅として建てたものや、世帯分離住宅として許可を受けたものなどが、使用者制限のある建築物とされています。こうした家を相続しても、使う人を変えるには制限を解除する許可が必要になる場合があります。
確かめる順番は次のとおりです。
- 市区町村の都市計画図で、市街化調整区域かどうかと、条例で指定された区域かを見る
- 開発許可の窓口で、今の建物がいつ、どの許可で建てられたかを調べてもらう
- 建てたい建物が34条のどの号に当たりうるかを相談する
農地なら農地法の転用許可が先に要る
農地法4条は、農地を農地以外にする人に都道府県知事などの許可を求めています。農地を売ったり貸したりして転用する場合は、5条の許可が要ります。申請書は農業委員会を経由して出します。

市街化区域の農地は、あらかじめ農業委員会に届け出れば転用できます(4条1項7号)。市街化調整区域にはこの届出の仕組みがないため、許可が必要です。
農林水産省の「農地転用許可制度の概要」では、農地を優良性や周辺の状況で区分し、区分ごとに許可の方針を決めています。
| 農地の区分 | 許可の方針(立地基準) |
|---|---|
| 農用地区域内農地 | 原則不許可 |
| 甲種農地(市街化調整区域内で、農業公共投資後8年以内の農地など) | 原則不許可 |
| 第1種農地 | 原則不許可 |
| 第2種農地 | 第3種農地に立地困難な場合などに許可 |
| 第3種農地 | 原則許可 |
同じ資料は、転用が確実と認められない場合なども不許可になるとしています(一般基準)。どの区分に当たるかは、農地の所在地の農業委員会で確かめられます。太陽光パネルの下で営農を続ける営農型発電設備には、別に許可の考え方が示されています。
使い道が見つからないときの選択肢
許可の見込みが立たず、管理だけが続く場合は、売却や国への引き渡しも選択肢に入ります。

法務省の相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で土地を取得した相続人が、一定の要件を満たせば土地を国に引き渡せる制度です。2023年4月27日に始まりました。法務省のページによると、建物がある土地、担保権や使用収益権が設定されている土地、土壌汚染されている土地、境界が明らかでない土地などは申請できません。
審査手数料は土地一筆あたり14,000円で、却下や不承認になっても返されません。承認されると、10年分の標準的な管理費用を考えて算定した負担金を納めます。負担金の額は、土地の種目や市街化区域かどうかなどで決まります。
ほかの使い道との比べ方は相続した土地の使い道の選び方にまとめています。
出典
- 都市計画法(e-Gov法令検索・デジタル庁) https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC0000000100
- 農地法(e-Gov法令検索・デジタル庁) https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000229
- 神戸市「市街化調整区域での開発(建築)許可に関するよくある質問」 https://www.city.kobe.lg.jp/a33173/business/kaihatsu/kaihatsukyoka/chosekuiki/qa.html
- 福岡県(開発許可に関する質疑応答・PDF、番号11 太陽光発電設備) https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/296977.pdf
- 国土交通省「コンテナを利用した建築物の取扱いについて」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000058.html
- 農林水産省「農地転用許可制度について」 https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/nouchi_tenyo.html
- 農林水産省「農地転用許可制度の概要」(PDF) https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/attach/pdf/nouchi_tenyo-29.pdf
- 法務省「相続土地国庫帰属制度について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html
- 法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html
- 法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00471.html
いずれも2026年11月3日に確認しました。開発許可の運用は自治体ごとに違うため、神戸市と福岡県の説明はほかの地域にそのまま当てはまるとは限りません。