相続した土地の使い道

サ高住に土地を貸す 登録の基準・国の補助・借地と一括借り上げの違い

内容の確認日: 2026年11月4日

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に土地を貸すとき、登録を受けるのは土地の持ち主ではなく、住宅を運営する事業者です。持ち主の役割は、土地を貸すか、建てた建物を事業者に貸すかのどちらかになります。

国の建設費の補助も、建てる事業者が受ける仕組みです。補助の率や上限額は年度ごとに変わり、この記事で読んだ二つの年度の資料でも違っていました。この記事は一般的な情報です。個別の判断は弁護士や税理士などの専門家にご相談ください。内容は2026年11月4日に確認しました。

登録を受けるのは運営する事業者

老人ホームの玄関と外壁
写真: 円周率3パーセント / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

サ高住の登録は、高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)5条で決まっています。賃貸住宅などに高齢者を入居させ、安否の把握や生活相談のサービスを行う事業者が、建物ごとに都道府県知事の登録を受けます。千葉市の案内には、都道府県・政令市・中核市で登録するとあります。窓口は土地の所在地で変わるため、先に自治体で確かめます。

登録は5年ごとの更新が必要です(同条2項)。国土交通省の資料にある登録の基準は、次のとおりです。

  • 床面積は原則25㎡以上
  • バリアフリー構造であること
  • 状況把握サービスと生活相談サービスを提供すること
  • 長期入院を理由に事業者から一方的に解約できないなど、居住の安定が図られた契約であること
  • 敷金、家賃、サービス対価以外の金銭を受け取らないこと

入居できるのは、60歳以上の人か、要支援・要介護の認定を受けた人などです。同じ資料では、令和8年3月末の登録は291,498戸、8,337棟でした。

土地の持ち主が運営もする場合は、持ち主がこの登録を受けます。土地や建物を貸すだけなら、運営事業者が登録の窓口に立ちます。ただし、貸す相手が何を登録するのかは、契約の前に聞いておきます。

国の補助は建てる側が受ける

東京・恵比寿で建設中の住宅
写真: Syced / CC0(Wikimedia Commons)

国土交通省のスマートウェルネス住宅等推進事業には、サ高住の整備に対する補助があります。国が民間事業者、医療法人、社会福祉法人、NPOなどに直接補助します。補助の対象は、登録されたサ高住の建設費や改修費です。

補助の内容は、年度の資料で違いがあります。

表は左右に動かして読めます。

資料新築の補助率と上限改修
令和6年度当初予算案(2024年3月の懇談会資料)1/10。床面積30㎡以上で設備がそろう住戸は135万円/戸など1/3。195万円/戸
令和8年度当初予算案(国土交通省のサ高住情報提供サイトの資料)1/3。上限150万円/戸など。戸あたり20㎡を超える面積相当の事業費が対象1/3。234万円/戸

令和8年度の資料には、令和7年度までに設計に着手した案件は、補助率は令和7年度と同じで、上限額は令和7年度の1/2とする注記があります。どちらの資料も、補助を受ける条件に「サ高住として10年以上登録すること」が入っています。

資料の題は「当初予算案」です。募集の時期や条件は、国土交通省の最新の案内で確かめます。運営事業者が補助を使う予定かどうかは、土地を貸す側の契約期間にも関わります。

税の面では、同じ資料に供給促進税制があります。新築の場合、固定資産税は5年間、税額の1/2以上5/6以下の範囲で市町村が条例で定めた割合だけ軽くなります。令和9年3月31日までに取得した場合の措置です。

この税制には要件があります。資料には、1戸あたりの床面積が30㎡以上160㎡以下、戸数が10戸以上、国のサ高住の建設費補助を受けていること、耐火構造または準耐火構造であることなどが書かれています。税を負担するのは建物の所有者です。借地方式なら事業者、一括借り上げなら持ち主に当たります。

お金の面では、住宅金融支援機構にサービス付き高齢者向け賃貸住宅融資があります。サ高住として登録を受ける賃貸住宅の建設や改良に必要な資金を貸す仕組みです。融資を使う場合も、借りるのは建物を建てる人です。

貸し方は借地と一括借り上げの二つ

道路沿いに続く大規模な集合住宅
写真: Kentin / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

サ高住の土地の貸し方は、大きく二つに分かれます。

  • 借地: 土地を事業者に貸し、事業者が建物を建てる。持ち主は地代を受け取る。
  • 一括借り上げ: 持ち主が建物を建て、事業者に建物ごと貸す。持ち主は家賃を受け取る。

借地にすると、建物の建築費は事業者が負担します。持ち主は建築費を借り入れずに済みますが、期間が終われば更地で戻ります。一括借り上げは、建物が持ち主のものとして残ります。その代わりに、建築費の返済と、事業者から受け取る家賃の見直しを考える必要があります。契約書で、家賃を見直す条件と、契約を終える条件を確かめます。

借地権のうち、期間が決まっていて更新がないものは、借地借家法22条の一般定期借地権(存続期間50年以上)と、23条の事業用定期借地権です。23条は「専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く)」が対象と書かれています。サ高住は入居者が住む建物です。どちらの権利で契約を組めるかは、公証人や弁護士に確かめます。事業用定期借地権の決まりは事業用定期借地で土地を貸すの記事にまとめました。

国の補助には10年以上の登録が条件にあるため、事業者が補助を使う場合は、借地や賃貸借の期間がそれより短くないか確かめておきます。これは資料の条件をもとにした、この記事の確認点です。

貸す前に調べること

鹿児島市役所の庁舎
写真: Suicasmo / CC0(Wikimedia Commons)

千葉市のページには、令和7年4月1日以降、国の補助の交付申請では、サ高住が立地する市区町村への意見聴取が必須の要件になったとあります。つまり、市区町村の考えを先に聞く場面が増えています。土地の用途地域や接道の条件も、建てられる規模に関わります。調べ方は相続した土地の使い道の選び方に書きました。

貸す相手の事業者についても、次の点を聞いておきます。

  • サ高住の登録は、どの自治体で、誰の名前で受けるのか
  • 補助や融資を使う予定があるか
  • 地代や家賃の見直しの条件
  • 契約を終えるときの建物の扱い(解体して返すのか、建物を引き継ぐのか)

土地の使い道を決める前の準備は、プランを請求する前にそろえる資料に、プランの比べ方は複数社から取り寄せたときの比べ方にまとめています。サ高住のほかにも、駐車場や賃貸住宅など、同じ土地で選べる使い方はあります。

出典

いずれも2026年11月4日に確認しました。補助の率と上限額は年度で変わるため、申請の前に最新の案内を確かめてください。

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