相続した土地の使い道

相続した山林はどうする 所有者届出は90日以内・市町村への委託・国庫帰属の要件

内容の確認日: 2026年11月4日

相続で山林を取得したら、まず市町村への届出を考えます。地域森林計画の対象になっている民有林の持ち主になった人は、森林法10条の7の2により、所有者になった日から90日以内に市町村長へ届け出ます。無届や虚偽の届出には、10万円以下の過料の定めがあります。

そのあとの道は、持ち続ける、市町村に管理を任せる、国に引き取ってもらう、の3つに分かれます。国庫帰属は、山林では要件が細かい制度です。この記事は一般的な情報です。個別の判断は市町村の林務担当窓口や法務局、司法書士などの専門家にご相談ください。内容は2026年11月4日に確認しました。

森林の土地の所有者届出は90日以内

大野山山頂から望む相模湾
写真: Tmv / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

届出の対象は、都道府県の地域森林計画の対象になっている民有林です。林野庁のページでは、登記の地目が何であっても、現に森林の状態であれば対象になる可能性が高いとされています。売買でも相続でも、面積が小さくても、届出が要ります。

届出の中身は次のとおりです。

  • 届出先: 土地がある市町村の長
  • 期限: 新たに所有者となった日から90日以内(森林法施行規則7条)
  • 添付する書類: 土地の位置を示す地図と、登記事項証明書などの原因を証明する書面

相続の場合に、どの日から90日を数えるかは、林野庁のページに個別の説明がありません。遺産分割が済んでいない場合の扱いも含めて、市町村の窓口で確かめます。

国土利用計画法23条1項の届出をしている場合は、この届出は不要です。土地の売買などの契約をしたときの届出です。

令和8年4月1日からは、届出書の様式が変わりました。林野庁のページによると、届出人の国籍等の記載が加わり、国外に住む人は国内の連絡先を別紙で出します。古い様式を使わないよう、提出前に市町村か林野庁のページで最新の様式を確かめます。

山林の相続登記は別の手続きです。不動産登記法の相続登記の義務化は、取得を知った日から3年以内とされています。届出と登記は別の手続きで、一方を済ませても他方の代わりにはなりません。

山林で管理が必要になる場面

山林は持っているだけでも、管理の責任がついてきます。森林経営管理法3条は、森林所有者が伐採、造林、保育を適時に行い、経営管理をする責務を定めています。市町村は、円滑な経営管理のための措置に努めるとされています。

実際に困るのは、次のような場面です。

  • 境界がわからず、隣の山との線が確かめられない
  • 遠方に住んでいて、現地を見に行けない
  • 手入れが止まり、木が込み合っている

どの手段を選ぶかは、境界の確かさ、木の状態、今後の使い方で変わります。まず現地と地図で、山林の範囲と状態を把握します。土地全体の使い道の考え方は相続した土地の使い道の選び方と共通です。

市町村に管理を任せる森林経営管理制度

森林経営管理法は、手入れが行き届かない森林を、市町村を通じて管理する仕組みを定めています。所有者は、森林の経営管理権を市町村に預けます。

流れは、法律と林野庁の資料から次のように読めます。

  1. 市町村が、所有者に経営管理の意向調査を行う(5条)。
  2. 所有者が、自分から市町村に集積計画を定めるよう申し出ることもできる(6条)。
  3. 市町村が経営管理権集積計画を作る。対象の森林ごとに、権利を持つ人全員の同意が必要(4条)。
  4. 公告により、市町村に経営管理権が、所有者に利益の分配を受ける権利が設定される(7条)。
  5. 林業に適した森林は、民間の林業経営者に経営管理実施権が設定される(35条)。

林野庁の事務の手引には、意向調査で委託を希望しても、市町村が受けることの約束ではないという趣旨の注意があります。申し出ても、市町村が対象に選ばないことがあります。その場合、市町村は理由の通知に努めるとされています(6条2項)。

伐採などの収益が費用を上回れば、所有者に金銭が支払われる定めです(4条2項)。上回らない場合は、支払いはありません。所有権は動かず、手放しの手段ではありません。

この制度は市町村ごとに進み方が違います。林務の担当課に、受付の有無と対象になる森林の条件を尋ねます。

相続土地国庫帰属制度と山林の要件

さいたま地方法務局の建物
写真: Ebiebi2 / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

所有権を手放したいなら、相続土地国庫帰属制度があります。法務省の案内では、相続や遺贈で取得した土地について、一定の要件を満たせば国に引き取ってもらえます。法務局に申請します。

申請できない土地は、建物がある土地、担保権などがある土地、他人の使用が予定されている土地、土壌汚染のある土地、境界が明らかでない土地です。承認されない土地には、がけ地、地上や地下に管理を妨げる物がある土地、隣の土地の所有者との訴訟が必要な土地などがあります。

山林には、法務省のQ&Aに次の記載があります。

  • 森林も申請できる。
  • 市町村森林整備計画に合わず、追加の造林、間伐、保育が必要な森林は、承認されないことがある。
  • 人工林は適切な間伐などがされているか、天然林は標準伐期齢に達しているかを見る。
  • 森林経営管理法の経営管理権が設定されたままでは申請できない。前に解除しておく。
  • 境界は、隣地の所有者の認識と食い違いがなく、争いがないことが必要。境界標がなければ、目印を置く。

費用は2種類です。審査手数料は土地1筆あたり14,000円で、取下げや不承認でも戻りません。承認されると、10年分の管理費に当たる負担金を納めます。森林の負担金は面積で決まり、算定には登記記録上の地積が使われます。額は法務省の計算表で確かめます。

負担金の納付は、通知から30日以内です。遅れると承認が失効し、はじめから申請し直しになります。

どの順番で動くか

地面に埋められた境界標
写真: Osumi Akari / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

迷ったときは、次の順に進めると手戻りが少なくなります。

  1. 登記事項証明書と地図で、山林の場所と面積を確かめる。
  2. 市町村の林務窓口に、地域森林計画の対象かを聞き、対象なら届出書を出す。
  3. 現地で境界と木の状態を見る。境界が不明なら、土地家屋調査士に相談する。
  4. 持ち続けるなら、森林経営管理制度の受付と、森林組合への相談を考える。
  5. 手放すなら、法務局の事前相談を受ける。

市町村の制度は、窓口や進め方が自治体ごとに違います。お住まいの自治体と、山林がある自治体の公式ページで確かめてください。山林の活用の見通しがないときは、他の土地の使い道とあわせて、複数の事業者の提案を見比べる方法もあります。

出典

いずれも2026年11月4日に確認しました。

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